「旅人の訪れた江ノ島探訪」
2015/01/22
私の所属している皆川ゼミ(日本史演習)では、安政4年(1857)の『伊勢参宮道中記』という、江戸末期の伊勢神宮等への巡礼の旅日記を読んでいます。今回、その旅の主人公である篠原理右衛門が実際に立ち寄った江の島を訪ねることにしました。篠原は、『道中記』の中で岩屋からの景色は「大変よい」と感想を書いています。
江の島の岩屋に行くと、入口にて各自に蝋燭が手渡されました。その明かりで足元を照らしながら薄暗い洞内を奥へ進んでいくのは、まるで探検のようでわくわくしました。洞窟の中には、さまざまな石仏もあり幻想的な光景で感激しました。岩屋の一番奥にあった解説パネルには、昔、この洞窟が富士山に通じていると信じられていたとあり、富士山と江の島の関係を知ることもできました。
その日、江の島から臨む海は曇天のために澄んだ青色ではありませんでしたが、雲間からかすかに差し込んだ光は、弘法大師の来訪により姿を現した弁財天の逸話を彷彿とさせるような神秘的な輝きをしていました。
昼食には江の島名物の“生しらす”や豊富な海の幸を使った丼を食べました。史蹟めぐりもさることながら、名物を味わうことも旅の醍醐味であり、その土地がらを知る上で大切なことだと思います。
今回の探訪では『伊勢参宮道中記』のように、史蹟と名物のどちらも楽しむことができました。日記を読むだけでは得られない楽しさがそこにはあります。みなさんも、教室での理解を深めて新たな発見をするために、そしておいしい名物を楽しむためにも、実際に研究しているご当地を訪れてみてはいかがでしょうか。
(日本文化学科3年 加藤 茜)